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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)1315号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人杉俊彦の上告理由について。

所論の証人が、唯一の証拠方法であつても、その取調につき不定期間の障害があるときは、民訴二六〇条の適用を妨げるものではない。記録によると、原審においては上告人の申出にもとずき右証人を尋問するため前後二回にわたり呼出状を発送したが、いずれも転居先不明の理由により不送達となり、右証人が指定の各口頭弁論期日に出頭しなかつたことが明らかであるばかりでなく、右呼出状の宛先のごときも、第一回目のときは世田谷区世田谷三ノ一三三六清改作方であり、第二回目のときは台東区浅草山谷東京都立山谷宿泊所内であり、殊に右第二回目のときは所轄郵便局集配手が再度にわたり調査していることが認められるのであつて、これらの事情を勘案すれば、右障害は同条にいわゆる証拠調につき不定期間の障害があるときに該当するものというべきであり、原審において右証人の尋問を行わないとして弁論を終結したことは相当であつて、原判決には所論の如き違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

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